旅をすると目の前に見知らぬ風景が次々と現れる。カメラを手にしているから、その風景の成り立ちや歴史を知らなくても、心が動いたらシャッターを切る。それはとても衝動的で、感覚的だ。
旅が終わってしばらくして写真を見返す。何かの説明でも、誰かに伝えたいことでもなく、ただ目の前に心を動かす風景があったから撮った写真たちがならぶ。理由もなくはじまり、脈絡はなく、落としどころもない。ただ何か、心に灯がともっていたような感触だけが残っている。
そういう写真のおもしろさを伝えられるだろうか。理屈ではない、旅するような写真のおもしろさを。
2020年6月29日