同居していた母がすい臓がんで旅立ち、もうひと月が過ぎた。庭いじりが好きで、いつも花畑や家庭菜園のどこかで孫たちの登下校を見守っていた。
ふと窓の外を見ると野良着で草むしりをしている母がいるように感じることがある。と同時に風に揺れている花や、庭にくる鳥たちに姿を変えて、励ましてくれているような気がすることも増えた。
「千の風になって」という歌があるけれど、母は骨壺なんかにはいないと確かに思う。心配して声をかけてくれるご近所さんや遠くに住む古い友人、庭の花々、孫たちのなかにとけ込んで見守ってくれているのだきっと。
2020年7月9日