クマに会う

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峠道を車で走行中、左目の視野ぎりぎりのところに黒い塊が見えた。
「クマですね」頭がすぐにそう反応し、引き返してみると若いヒグマがいた。
草をムシャムシャ食べてたまにちらりと目を向ける。私が気になるようで、少しずつ遠ざかってはいるものの歩いては食べ、こちらに背を向けて座り腕をなめたりしている。
シャッターを切りながら頭の中は観察と分析を繰り返す。すぐに攻撃してくる雰囲気はない。表情や行動はおだやかに思われる。若くて人に対する経験が浅いのか。人慣れしているのだろうか。
考えているうちにクマは静かに森へ消えた。私も待ち合せに遅れそうな時間になってしまった。車を運転しながら今起こったことを反すうした。「悪いやつではない気がする」ということは会って少したってから感じていた。クマもそう思っていたのかな。撃たれるなよ。
2020年7月3日